EVOC忘年会

宿泊戦線 シーズン03 vol.1

2015年12月12日(土)〜13日(日)。

朝から身体が痛かった。

この痛みは筋肉痛だ。昨夜、職場での忘年会が、ボーリング大会だった。

静岡への出張から帰ってから、ボーリングを3G。帰って来たのは23時過ぎ。

40歳を超えたおっさんには、些か厳しい日程だった。

「晴れたな」

昨日は12月とは思えない暑さで、しかも大雨と大風という酷い天気だった。

今日も天気は怪しいと思われていたが、昨日の大風が雨雲を一気に運んで行ったようだ。

今日はバイク仲間の忘年会を兼ねた一泊ツーリング。どうせ行くなら晴れていた方が良い。

愛猫の朝食を準備してから、俺もツーリングの準備を始めた。

昨夜も一応準備はしたつもりだが、なにせ疲れていたので、心許ない。

確認してみたが、取りあえずは大丈夫そうだ。

「さて、行くか」

俺は、集合場所に向かってエリミに跨った。

集合場所 金田IC下り ミニストップ

「ミニストップ?」

ここはサンクスだ。近くのスタンドでバイクが二台給油しているのが見えた。

ちょっと気になったが、それよりも集合場所はミニストップだ。

スマホで地図を確認すると、もっと先だと言うことが判明した。

この近辺で一度転んでブレーキレバーを折った経験がある。

そのことを気にしていたからか、曲がる場所を間違えたようだ。

ミニストップに行くと、既に三台のエリミが停まっていた。



ポリおうさん、Takaさん、そして初参加のみるみるさんだ。

「さっき、コンビニに居ましたよね? スタンドで給油してたんですよ」

Taka
さんに言われ、あの給油していた二台が、Takaさんとみるみるさんだったことが判明した。

ポリさんが一番手だったようだが、ほとんど千葉の人なので、もう驚かなくなっている自分がいる。

Takaさんは、フェリーで来て北上してきたようだ。もうそれだけで立派なツーリングだ。

だが上には上がいるもので、
みるみるさんは、群馬からの参加だった。

朝5時半に出発など、俺から言わせれば、もう脱帽ものだ。



「しかし、このエリミのカラーリングは渋いな」

ワインレッドの色のエリミなど見たことはない。しかも、今は滅多に見れないエリミ用のコブラシート。

「頼んで塗ってもらったんですよ」

それはそうか? 純正のエリミでこのカラーリングはないものな。

朝のコーヒーを忘れていたので、店内に入って戻ってくると、
akiさんのトライクが到着していた。



「うん? 謎のマスクマン?」

まったく肌の露出がない、完全防寒対策を施した
WONKさんだった。

ただ、怪しいのは格好だけで、
WONKさんは陽気で人当たりの良い人だ。

それにしても、
akiさんのトライクは凄い。以前は白エリミのトライクだったが、さらにパワーアップしている。

「後はワンセブさんだけか?」

「珍しく一番遅いね」


いつもなら、皆を迎えに行って、先頭でやってくる
ワンツーセブンさんが、今日に限っては一番遅かった。

すると、ここでようやく
ワンセブさんが登場。



いつもと違うのはタンデムしているところだ。今回は、
ワンセブさんの友達のみきさんも参加。

「遅かったね?」

「ファンヒーターを先に運んだりと、色々と」


実は、朝早くからファンヒーターを運んだりと、既に色々と動き回っていたようだ。

なるほど、そんな時間から動き回っていれば、テンションが高いのも頷ける。

・・・いや、いつも高いか?

「9時まで待って、誰も来ないようでしたら、一度家の方に荷物を預けに行こうと思います」

「ま、誰も来ないとは思うがな


一泊のツーリングだし、前もって連絡がなければ、誰も来ないだろうと思うのだが、この男は律儀にも毎回それを守る。

互いの自己紹介を済ませ、時間まで過ごしたのち、荷物を預けに行くことになった。

今回の宿泊場所は、
akiさんWONKさんの親戚の家。

普段は使っていないとのことで、今回はそこにお世話になることになっていた。

某富津岬邸



富津岬。海のすぐ傍の家。駐車場は気にしなくても良いスペースがあった。



暖房器具がないと言っていたが、布団にコタツなども用意されていた。

「雨、風が凌げる程度だから」

WONK
さんは言っていたが、十分過ぎるほどだ。

荷物を部屋に運び入れて、ちょっと腰を降ろしてみた。

その時、俺はあることに気づいてしまった。

うん? 地元の俺やワンセブさん以外は、既にツーリングをしたようなものではないか?

いや、ワンセブさんだって、朝から走り回っていたことだし・・・

俺が、走らなくても良いよと言えば、そう納得さえすれば、もうバーベキューを初めても?

そして俺は納得が出来る男・・・


「もう着替えても良いかな?」

「駄目です」


即却下された。空気を読んだつもりだが、読み違えたようだ。

しかし、昨日に引き続き暖かいし、こうまったりしていると、動きたくなるのが人だ。

「では、勝浦たんたん麺を食べに行きます」

こうして、至福の時間は終わり、俺達はバイクに跨り、12月の季節の中走ることになった。

久留里城

12月と言っても、本当に今日は暖かい。風は少しあるが、季節としてみれば、恵まれた環境だった。

これも普段の行いか?

素行の良さと、後ろ指を指されない生き方だけをしてきた俺にとっては、当然の結果と言えばそれまでだが。

バイクはなだらかな山道を走って行く。

タンデムしているからか、
ワンセブさんもいつものようには飛ばさない。

「これならついて行けるな」

毎回のことだが、よく道を知っているなぁ、と感心する。それに、後続車に対する気配りも忘れない。

「久留里城?」

ふと、行き先に疑問が生まれた。

久留里城に何の用があるのだ? まさか、城を見に行く気か?

駐車場から、天守閣までの登り坂が、どれほどキツイかは、経験から知っている。

食事の前に運動のつもりか? いや、運動の桁が違ってくるぞ!?

ワンセブ
さんとのツーリングは、まったりとしたのんびりツーリングで、誰もが参加しやすい。

しかし、意外と歩くことが多い。勿論、見てもらいたい場所が、そういう場所にあるからだが・・・。

だが、
ワンセブさんは、駐車場にバイクを停めず、天守閣まで続く道に入った。

「ま、曲がれない!?」

入り口が狭く鋭角なので、一発で俺のバイクは曲がれない。何とか入ったが、そこはかなりの登り坂。

「ここ、バイクで入って良いのか?」

久留里城を見る為に必死に歩いている年輩の人たち。見終わって降りてくる人たち。

そういう人たちを横目に、バイクが連なって登っていく。

皆、必死になって歩いているのに良いのか? そういう罪悪感が生まれてくる。



「前に来た時に、車は駄目だけど、バイクならここまでは良いって言われたんすよ」

バイクを停めると、
ワンセブさんはそう言って笑った。

そう解釈しただけでは?

どのみち、天守閣まではまだある。ここまでショートカットできたことだし口には出さなかった。

本当に足がパンパンになるのだ。それに、昨日のボーリングのおかげで、既に右腕は痛いし、尻も痛い。

こういう時、意外と平気そうにしているのが、
Takaさんだった。職業的なこともあるのだろうか? まぁ元気だった。

「トライク乗りは、歩かないんだよねぇ」

WONK
さんは感慨深く、遠くを見ながら言った。

トライク乗りではないが、俺も右に同じだ。でも、毎回行ってみると、それはそれで良かったりする。



天気も良いし、小さいながらに城なので、天守閣を見ると、やはり、ちょっと高揚するものがある。

Takaさんとみるみるさんは、城の中に入り上まで行った。やはり元気である。

みるみるさんは若いが、Takaさんは、一人で遠くまでツーリングするだけの精神力も体力もある人だ。



男だけでの記念撮影。そして下山。

俺達はこのまま、久留里城を後にし、そのまま勝浦たんたん麺、えざわまでひた走った。

勝浦たんたん麺、えざわ



「あれ、以前と違って、立派になってるね。前はプレハブみたいなところだったのに?」

前に来た時と場所も変わっており、そして元祖と言うだけはあるのか、行列ができていた。

「椅子があると、どうしても座っちゃうのよねぇ」

WONK
さんは腰を降ろして煙草を咥える。

「おや、ずっとakiさんの後ろに座って・・・。それに、途中木の枝に頭突きを・・・?」

それは言いっこなしだよ。と、
ポリさんに目で合図する。

背の低い枝が出ていて、akiさんは頭を屈めたようだが、
WONKさんは寝ていたのか、頭突きをしてしまったようだ。

トライクのリアは背が高いから、そういう事もあるようだ。しかし寝れると言うのは羨ましい限りだ。

EVOCの名前で呼ばれて、中に入ると店内は食欲のそそる匂いが立ち込めている。

皆はこの店の売りでもある、たんたん麺をベースにしたラーメンを頼んだ。

だが、葱と玉葱に頼り過ぎるこのご時世の食生活に不満がある俺は、普通のチャーシュー麺、葱抜きを注文した。

葱に頼らないラーメン。流石に美味そうだ。一人だけ大辛を頼んだポリさんのだけ色が違う。

たんたん麺を食レポできないが、後を引く辛さのようだ。

ただ、胃がおかしくなったと、
ポリさんは言っていたので、適度な辛さを求めた方が良さそうだ。

「これから、食材を買い込んで戻りたいと思います」

珍しく、今回のツーは、ここ以外には、どこも行かないようだ。

「ソフト部、どうしようか?」

ワンセブ
さんが、ポリさんに相談している。いつもなら、どこかでソフトクリームを食べるのが恒例になっている。

彼らはソフト部と呼んでいるが、俺は入っていない。

来た道を戻り、それから途中で道の駅のような場所に入った。



Vol.2 へ

 

 

inserted by FC2 system